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土門拳記念館訪問記 ~画像27枚と共に~


10月のことだが、近くで撮影の仕事があったので、この機会にと土門拳記念館(酒田市写真展示館)へ行ってきた。



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土門拳はいわずと知れた日本写真界きっての巨匠。
彼の功績を称え彼の故郷山形県酒田市に建てられたのがこの記念館である。
インフォメーションには「日本最初の写真専門の美術館」「個人の写真記念館としては世界でも唯一のもの」「土門拳の全作品 約70,000点を収蔵」と書かれてある。
建物は自然公園の中の大きな池の側に建っている。
この日は晴天だったので、緑と水に囲まれた記念館が見えると清清しい気持ちになった。




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420円を払い20キロ近い撮影機材をフロントに預けて記念館に入ると「日本の自画像 写真が描く戦後 1945-1961」なる特別展が広いスペースで開催されていた(この記事アップ現在、終了しました)。
すぐに土門拳の作品が現れると思っていたので肩透かしを食らった。




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終戦後の日本を捉えた写真家は、石本泰博、川田喜久治、木村伊兵衛、田沼武能、東松照明、土門拳、長野重一、奈良原一高、濱谷浩、林忠彦、細江英公。






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どの写真家の作品がどうというより、写真群全体から異様な迫力が漂う。
くたびれた軍服を着た帰還兵。
街で生きる埃まみれの戦争孤児たち。
進駐軍兵士と腕を組む若い日本女性・・・・。






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そんな写真を前にして考える。

「この時代に写真を撮ったら、誰でも迫力ある写真が撮れるのではないか」
「しかし待てよ。やけに整理された構図だ。写真家のレベルが高いのではないか」

そして今思うのが、

「被写体、写真家を含め、時代が生んだ作品」

ということだ。
芸術作品は「時代」が作品に憑依すると異様な迫力を放つ。
音楽でいえばビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」、マイルス・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」。
単純明快な時代から複雑怪奇な時代への人類レベルの大きな変換期に現れ、見事にその時代が憑依した神がかり的アルバムだ。





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奥に進むと、ひっそりと土門拳記念室が現れた。
「やっと土門拳の作品に浸れる」
と思い中に入ると、展示品の少なさと簡素な展示の仕方にまたもや肩透かし。






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土門拳。
一度に多くの作品に触れるのは初めてだ。
それまでは好きでも嫌いでもなく「へえ、巨匠なんだあ」といった極めて写真に興味のない一般人レベルの感想と興味しか持ち合わさなかった。
そして記念室で彼の写真群を見終えた後も、そしてこれを書いている今もその感想は変わらない。
これは、決して彼を評価していないわけではなく、一言で言えば、
「今の私には関係ない」
ということだ。






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若い頃から「これこそ日本の美」と個人的に決めたものが3点ある。


富士山。
ゼロ戦。
王の打撃フォーム。


奇想天外な組み合わせだが、別に奇をてらったわけではない。
この三つには共通するものがあるのだ。
それは、



シンプル、ビューティフル。



まざりっ気のない美。
無駄のない美。
しかし、私とは関係の無い美・・・・。
土門拳にもそれを感じる。



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ゼロ戦は第二次世界大戦開戦当初、世界水準のはるか上をいった傑作戦闘機なのだが、時を同じくしてイギリスにも名機が現れていた。
それがスーパーマリン・スピットファイア。
ナチスの手から本土を守ったと讃えらるイギリスの守り神だ。

世界のホームラン王・王貞治と比較できる打者は極めて少ないが、その中の一人に王を抜く史上最多の三冠王三回を取った現中日監督の落合博満がいる。






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実は、スピットファイアのデザイン、落合の打撃フォームが大好きだ。
両者に共通するのが、人間臭さ。
スピットファイアには「優雅であれ」とする設計者の想いが、無駄を排除しなければならない戦闘機設計にあってどうしようもなく噴出してしまっている。
落合のフォームは人間臭い。これは例えば高校時代に野球部に馴染めず殆ど野球から遠ざかっていたというエピソードに象徴される彼の途方もなくアウトローな生き方が現れているのではないか。





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ここで何を言いたいかというと、私は無駄を排除した表現が苦手で、どこからか人間臭さが漂う表現が好きだ、ということである。
土門拳の作品には「富士山、ゼロ戦、王の打撃フォーム」に共通したものを感じ、距離を置いてしまうのだ。

富士山?
さすがに人間臭い形の山なんて知らない。






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最後に触れて置きたいのが、建物。
画像でご覧のとうり、外観も内部もかなりユニークだ。
いかにも現代建築という作りだが、その手の建築物にありがちな人を拒絶する冷たい雰囲気のないところが気に入った。
スタッフの話によると「建築関係の人が度たび見学に訪れる」とのこと。

建物が綺麗なので築が浅いのかと思ったらそうではなかった。
1983年築。
管理が行き届いているのだろう。
スタッフの対応の良さからもそれが窺えた。
写真に興味がある方は、近くに来たさいはぜひこの土門拳記念館に足を伸ばされることをお勧めする。









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土門拳記念館ホームページ




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by Photobra7 | 2009-11-30 19:17 | 写真展 | Comments(7)
Commented by bernardbuffet at 2009-11-30 22:19
良い記事です。とても良い。
写真、文章とも読む者を捉えて離さない力があります。
1点。20~22にの所。ここは起承転結の転で実は論理を大きく転換するところなのだけれども、富士山、ゼロ戦、王貞治と、後に出てくるスピットファイヤー、落合博満との対比が鮮明でないため(数も違うし対句になっていない)、論旨がわかりにくくなっています。とても惜しい。
それは別として、今回の記事は背筋を伸ばさずしては読めないし、そうさせるだけの力があります。 写真にも真摯さが伝わってきます。仏師が祈りを捧げながら鑿を打ち込んで彫拓し、古木の中から仏の姿を探り出すような
pure spirit を感じました。1枚目の写真から、いつもと違う(我が名はたわちゃんとは全く違う!)ぞというものが伝わってくるし、7~10の写真など、ちょっと間違えるとワザとらしく卑俗になるのに外連味が全くない。
10番の写真は見ていて緊張感が伝わってくる。
時々、photobraさんはすごいエネルギーを爆発させますね。前回はサンバの連写でしたっけね。
Commented at 2009-11-30 22:55
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tes_music_system at 2009-12-01 07:50
「日本の自画像」は今年の5月頃、世田谷美術館で観て感動しました~!!!
骨太の作品を観て、これから俺は何を撮ればいいだと意気消沈しました?!(笑い)
聖地に行って来たんですね?!(笑い)古典は観ておかないとね!!!
館内は撮影OKなんだね?!(笑い)
Commented by Photobra7 at 2009-12-01 17:01
>bernardbuffetさん
>良い記事です。とても良い
ありがとう!

>1点。20~22にの所。
鋭い!
実はここで詰まって長い間この記事を放置していました。
ここが今の私のチカラの限界ですねえ。

>仏師が祈りを捧げながら鑿を打ち込んで彫拓し、
うれしいのですが、今回は建築家とか照明の良さに「撮らされてる」て感じも否めません。

>時々、photobraさんはすごいエネルギーを爆発させますね。
毎日更新目指してるので、さすがに毎日はきついですね。
テキストだけならまだしも、写真が入るとなると余計にです。
画像、テキストともネタには困らないのですが、時間と情熱のなさでどんどんネタは流れていっているのが現状です。
Commented by Photobra7 at 2009-12-01 17:03
>親分
>意気消沈しました?!
親分も意気消沈するのですか?w

>古典は観ておかないとね!!!
はい。どのジャンルでも古典は大事だと思います。

>館内は撮影OKなんだね?!(笑い)
OKです。
親分も撮って来て下さいw
Commented by tes_music_system at 2009-12-02 08:11
追伸?!昨晩12/1にNHKのBSで土門拳を見ました。
戦前に軍隊の宣伝写真を撮っていた反省と自戒から、
戦後の土門拳の作品が始まったみたいです。
だから非演出、報道写真、厳しい視線が生まれたんでしょうね・・・?!
Commented by photobra7 at 2009-12-05 11:38
>親分
>昨晩12/1にNHKのBSで土門拳を見ました。

いいなあ。

>戦前に軍隊の宣伝写真を撮っていた反省と自戒から、

そうなのですか。しらなかった。
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